これまでも何度か取り上げて来ましたが、改めて、Illustratorのローカライズに関してまとめてみました。
合体(option+クリックで複合シェイプを作成し形状エリアに追加)
- 現状:合体(option+クリックで複合シェイプを作成し、形状エリアに追加)
- 場所:[パスファインダー]パネルのボタン
- 改良案:合体(option+クリックで複合シェイプを作成)
- 英語版:Unite(Option-click to create Compound Shape and add to shape area)
- 備考:
- 「形状エリア」って何!??
- 合体と追加が揺れている
長さを調整しながら、線分をコーナーやパス先端に合わせて整列
- 現状:長さを調整しながら、線分をコーナーやパス先端に合わせて整列
- 場所:[線]パネルの[破線]セクション
- 改良案:コーナーやパス先端に破線の先端を整列
- 英語版:Align dashes to corners and path ends, adjusting lengths to fit
- 備考:長すぎる
セグメントをドラッグして固定パスをリシェイプ
- 現状:セグメントをドラッグして固定パスをリシェイプ
- 場所:環境設定の[選択範囲・アンカー表示]
- 改良案:
- パスをドラッグ時、ハンドルの方向を固定する
- セグメントをドラッグしてリシェイプ時に、パスを固定する
- 英語版:Constrain Path Dragging on Segment Reshape
- 備考:
- 操作の内容を把握せず、また、英文の構造も理解していない悪例
- オプションにチェックを付けると、ハンドルの方向が固定される
- そもそも、このオプションが[選択範囲]セクションにあるのが間違い([アンカーポイントとハンドルの表示]セクションに移動)
- さらに、 [アンカーポイントとハンドルの表示]は、表示だけではないので、[アンカーポイントとハンドル]とすべき
自動追加/削除しない
- 現状:自動追加/削除しない
- 場所:環境設定の[一般]
- 改良案:ペンツールを選択時、パス上でアンカーポイントを自動追加/削除しない
- 英語版:Disable Auto Add/Delete
- 備考:
- 何を追加(削除)しないのか、まったくわからない
- [ペンツールを選択時、パス上でアンカーポイントを自動追加/削除する]としてON/OFFを逆にした方が意味が通じやすい
分割およびアウトライン時に塗りのないアートワークを削除
- 現状:分割およびアウトライン時に塗りのないアートワークを削除
- 場所:
- [パスファインダーオプション]ダイアログボックス([パスファインダー(分割)]効果
- [パスファインダー(アウトライン)]効果を設定後、ダブルクリックで開くダイアログボックス
- [パスファインダーオプション]ダイアログボックス([パスファインダー(分割)]効果
- 改良案:「分割」および「アウトライン」時に透明部分を維持する
- 英語版:Divide and Outline Will Remove Unpainted Artwork
- 備考:
- 「分割」および「アウトライン」には、括弧が必要
- アピアランスの方ではデフォルトがON、パスファインダーオプションの方ではデフォルトはOFF
ピクセルを最適化
- 現状:ピクセルを最適化
- 場所:[オブジェクト]メニュー
- 改良案:ピクセルグリッドに最適化
- 英語版:Make Pixel Perfect
- 備考:「ピクセルを最適化」、「ピクセル最適」、「ピクセルグリッドに整合」と揺れまくっています。
- 「選択したアートは既にピクセル最適化されています」
- [選択したアートをピクセルグリッドに整合]
- 「選択したアートは既にピクセル最適化されています」
シアー
- 現状:シアー
- 場所:[オブジェクト]メニューの[変形]、および、ツールパネルの[シアーツール]
- 改良案:傾斜
- 英語版:Shear
- 備考:こういうものと思って生きていたけど、「シアー」なんて日本語聞いたことがない
現在のレイヤーへ
- 現状:現在のレイヤーへ
- 場所:[オブジェクト]メニューの[重ね順]内
- 改良案:選択しているレイヤーに移動
- 英語版:Send to Current Layer
- 備考:元々、「Arrange」を[重ね順]に変更した経緯があるが、「Send to Current Layer」コマンドは重ね順とは無関係
オブジェクトの位置
- 現状:オブジェクトの位置
- 場所:[レイヤー]パネルメニュー内
- 改良案:
- [選択しているオブジェクトをレイヤーパネル上で表示]
- [選択したオブジェクトを見つける]
- [選択したオブジェクトを探す]
- 英語版:Locate Object
- 備考:
- Locate(動詞:探す、見つける)でなく、location(名詞:位置)として訳してしまったのでしょうか?…
- 参考:細かすぎて伝わらないIllustratorの小技(11)レイヤーパネルの変化
段組設定
- 現状:段組設定
- 場所:[オブジェクト]メニューの[パス]内
- 改良案:グリッドに分割
- 英語版:Split into Grid
- 備考:Illustrator 10までは[文字]メニューにあったコマンド。テキストとは無関係のため、[オブジェクト]メニューの[パス]内に移動。
シェイプに変換/シェイプを拡張
- 現状:
- シェイプに変換
- シェイプを拡
- 場所:[パス]メニューの[シェイプ]のサブメニュー
- 改良案:
- ライブシェイプに変換
- ライブシェイプを拡張
- 英語版:
- 備考:
- 「シェイプ」と「ライブシェイプ」は明らかに別物
- 参考
シンボル(動的)
- 現状:シンボル選択時のコントロールパネル
- 場所:
- 改良案:ダイナミックシンボル
- 英語版:Symbol(Dynamic)
- 備考:翻訳してはいけない用語を翻訳してしまった例(「シンボル(静的)」も同様)
- 参考:Adobe Creative Stationの連載「ベテランほど知らずに損してるIllustratorの新常識」にて公開したシンボル編の補足
水平方向中央に整列
- 現状:水平方向中央に整列
- 場所:[整列]パネル
- 改良案:縦方向中央に整列
- 英語版:Horizontal Align Center
- 備考:
- アプリケーションごとに違い過ぎるので統一したい
- Illustratorのみ、キーボードショートカットを設定できない
- 参考:
時・とき
- 現状:ドキュメントを開いていない時に
- 場所:[環境設定]の[一般]カテゴリ
- 改良案:ドキュメントを開いていないときに
- 備考:Illustrator 10までは[文字]メニューにあったコマンド。テキストとは無関係のため、[オブジェクト]メニューの[パス]内に移動
クリッピングパスを編集/マスクを編集
クリッピングマスクを設定時、コントロールパネルでは[クリッピングパスを編集]ですが
[オブジェクト]メニューの[クリッピングマスク]のサブメニューでは[マスクを編集]です。
ポイントサイズ/フォントサイズ
- 現状:フォントサイズ
- 場所:[キーボードショートカット]ダイアログボックスの[その他のテキスト]内
- 改良案:ポイントサイズ(5倍)
- 備考:
- 環境設定の[テキスト]カテゴリの[サイズ/行送り]が「2pt」のとき、ポイントサイズの変更を行うと2ptずつ、フォントサイズの変更を行うと10ptずつ増減します。
- [サイズ/行送り]が「1pt」のとき、ポイントサイズの変更を行うと1ptずつ、フォントサイズの変更を行うと5ptずつ増減します。
- 参考:Illustrator CS6以降の値変更
文字の縦横比を固定
- 現状:文字の縦横比を固定
- 場所:[キーボードショートカット]ダイアログボックスの[その他のテキスト]内
- 改良案:文字の縦横比をリセット
番外編:ライブカラー(オブジェクトを再配色)
- ローカライズではないが、文字色がおかしい(「青on黒」は「白on黒」であるべき)
- スポイトツールがスポイトツールとして機能しない(ダイアログボックスを開いたときの状態にリセットするボタン)
まとめ
現状 | 改良案 | 場所 |
---|---|---|
合体(option+クリックで複合シェイプを作成し形状エリアに追加) | option+クリックで複合シェイプを作成 | [パスファインダー]パネルのボタン |
長さを調整しながら、線分をコーナーやパス先端に合わせて整列 | コーナーやパス先端で整列 | [線]パネルの[破線]セクション |
セグメントをドラッグして固定パスをリシェイプ | セグメントをドラッグしてリシェイプ時に、パスを固定する | 環境設定の[選択範囲・アンカー表示] |
自動追加/削除しない | ペンツールを選択時、パス上でアンカーポイントを自動追加/削除しない | 環境設定の[一般] |
分割およびアウトライン時に塗りのないアートワークを削除 | 「分割」および「アウトライン」時に透明部分を維持する | [パスファインダーオプション]ダイアログボックス([パスファインダー(分割)]効果 |
ピクセルを最適化 | ピクセルグリッドに最適化 | [オブジェクト]メニュー |
シアー | 傾斜 | [オブジェクト]メニューの[変形]、および、ツールパネルの[シアーツール] |
現在のレイヤーへ | 選択しているレイヤーに移動 | [オブジェクト]メニューの[重ね順]内 |
オブジェクトの位置 | [選択しているオブジェクトをレイヤーパネル上で表示] - [選択したオブジェクトを見つける] - [選択したオブジェクトを探す] | [レイヤー]パネルメニュー内 |
段組設定 | グリッドに分割 | [オブジェクト]メニューの[パス]内 |
シェイプに変換 | ライブシェイプに変換 | [パス]メニューの[シェイプ]のサブメニュー |
シェイプを拡張 | ライブシェイプを拡張 | [パス]メニューの[シェイプ]のサブメニュー |
シンボル(動的) | ダイナミックシンボル | シンボル選択時のコントロールパネル |
水平方向中央に整列 | 縦方向中央に整列 | [整列]パネル |
ドキュメントを開いていない時に | ドキュメントを開いていないときに | [環境設定]の[一般]カテゴリ |
文字の縦横比を固定 | 文字の縦横比をリセット | [キーボードショートカット]ダイアログボックスの[その他のテキスト]内 |
フォントサイズ | ポイントサイズ(5倍) | [キーボードショートカット]ダイアログボックスの[その他のテキスト]内 |
ローカライズに関して
ローカライズで大切なのは、次の点です。
- アプリケーション内で用語などが統一されていること
- 連携するアプリケーションでの統一
- 日本語として正しいこと
- 何ができるのか、何をしたらいいのかがわかること
残念ながら、Illustratorをはじめ、PhotoshopやInDesignなどのローカライズは、それぞれのアプリケーションに精通しているわけでもなく、かといって、英語に精通しているわけでもなく、さらに、複数アプリケーションを「前例」として調べる習慣もないようです。
アプリケーション内だけなく、サイトのヘルプなど、ブラッシュアップを望みます。
たとえば、こちらの記事の「レンディション」って何???? 「レンダリング品質」とかでよいかと。
その他、揺れているもの
下記が揺れています。
- ポイント文字/ポイントテキスト
- エリア内文字/エリア内テキスト